いま注目の「オフィスサイネージ」
こんにちは、江口と申します。
今回ご縁ありましてこちらのブログに定期的に書かせていただく機会を頂きました。
わたくしはデジタルメディアコンサルタントで、デジタルサイネージのみならず、テレビやネットなどの
デジタルメディア全般を領域としています。
本ブログでもサイネージだけに囚われることなく、様々な連携という視点で書いていこうと思います。
初回はいま注目の「オフィスサイネージ」という視点です。
デジタルサイネージと呼ばれるものにはいろいろな使い方があります。逆に言えば、本来異なる目的の
利用に対して、それらをまとめてデジタルサイネージと呼んでいると言うのが正しいかも知れません。
その利用目的の多くは、広告とか販促といった企業のマーケティングの活動の一環として使われるものが
多いのですが、社内コミュニケーションに利用する例が多くなっているようです。
これがオフィスサイネージです。
大企業のみならず、多くの企業では社内の情報伝達や情報共有のために様々な努力をしています。
たとえば社内のイントラネットやグループウエア、メーリングリストといったコンピュータを介するものから紙の掲示板に至るまで、すでに多くの手法があります。
しかし多くの方々がご経験の通り、社員はイントラネットをまず見には行きません。これは自分の方から能動的にアクションを起こさなければならないためで、業務上明確に必要なことであれば、イントラネットであろうが対面コミュニケーションであっても当然能動的に動きます。
しかし企業としては社員本人にとっては必要でないと思っていること、あまりうれしくはないことなどを伝えたいと考えるわけです。勿論それによって期待されるものは最終的には売り上げ増や利益率の向上です。
こうした、なかなか見てはもらえない、伝えきれない情報を半強制的に伝えると言うのがオフィスサイネージの大きな目的です。広告販促目的のデジタルサイネージも人々の生活動線上のいろいろな場所にこちらから出向いていって、いわゆる「コンタクトポイント」に対して商品を訴求します。オフィス内でも同様で、社員の側に歩み寄って情報を伝えると言うことになります。事務スペースは勿論ですが、エレベーターやトイレ、喫煙スペースや食堂というような、情報をプッシュするのに適している場所が、事業所内には多数存在しています。
事例としてはNTT東日本の東京支社は90個所、1万人にも及ぶ同社の社員と拠点に対して400台ものディスプレイを一気に導入しました。その効果は東日本大震災の時に最も明らかになり、震災の被害状況と復旧に向けて社員の共有してもらうべき情報を伝達するのに大きく役立ったのです。また同社の場合に特に効果を現している理由は、情報発信者が複数の社員にも委ねられているという点です。広報や経営側の一部だけが発信する上から目線な情報では、「どうせ・・・」という感情が起きてしまうのは当然です。しかし多くの社員がダイレクトに情報発信するよう情報入力のためのツール類も整備され、また「発信者の顔が見える」ので情報受容に対して敷居が格段に下がるのです。
オフィスサイネージの需要は実は元々あり、社内テレビのようなものが導入されている企業も少なくはありませんでした。
しかしながらこれらは、セキュリティの点から言っても外部のものの目に付きにくい場所に設置されているので、その実体が可視化されていないためです。
オフィスサイネージの導入成功の肝は、その目的と成果の評価、それにともなうコストです。特に成果をどう位置づけるのかがポイントです。管理部門から予算化されるケースが多いと思いますが、事業部門側に動機付けをしてもらうべきではないかと思います。そのためには、デジタルサイネージを使えばこんな情報が流せます的なアプローチではなく、部門や社内における業務フローをよく分析し、情報コミュニケーションがどこで分断されているのかを考えた上で、それを保管するツールとして論理的に導入することが必要であると思います。
第一回目はちょっと硬い感じになってしまいました。次回はよりリラックスして、より辛口に「デジタルサイネージを買いたい人はいない」といったテーマで書いてみます。
デジタルメディアコンサルタント
江口 靖二
投稿者:江口at 11:48| 江口靖二の是々非々サイネージ | コメント(0)