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2011年11月14日

マルチスクリーン化するメディア環境のまとめ

 ここ数回の本稿で述べてきたキーワードであるマルチスクリーンやHTML5などについて、今回は全体を今一度俯瞰しながらまとめてみたいと思う。

 ここ数年で、様々なディスプレイを搭載したデジタル機器が登場してきた。これらは言うまでもなくワイヤレスまたはワイヤードな高速インターネットに接続できる。ネット接続の回線スピードやコストは現時点では100%満足の行くものではないが、やがてこれらは解決に向かうだろう。またこれらの機器のサイズの違いは、利用シーンごとに最適化した結果とも言える。これらの機器のCPUなどのスペックにはもはや大きな差異はなく、またこれ以上極端な進化はしないし、その必要もない。それはこうした機器を扱うのは人間であり、すでに iPhoneのディスプレイ解像度は人間の網膜による認識の限界に達しているし、一般人が超高精細のレントゲン写真をやりとりすることもないからである。

 これらに搭載されるブラウザでは、HTML5上で動作するWEBアプリが主流になる。これらアプリはHTML5で規定されるAPIに準拠しているので、OSやブラウザの違いに 

 挿入図 

は左右されない。コンテンツはXMLやXHTML+CSSなどによって画面サイズの相違も克服していく。

 スマートフォンのような機器を常に持った状態で、生活動線上のいろいろな場所に設置されたディスプレイの間を、私たちは仕事や遊びで移動回遊していく。この回遊過程において、私たちはディスプレイを見ているわけではなく、そこに表示されたコンテンツやサービスを見ている。語感として日本人にはわかりにくいが、欧米ではこれらを「マルチディスプレイ」ではなく「マルチスクリーン」という。ディスプレイと言ったほうがよりモノの話になり、スクリーンといったほうがより中身の話になるのだ。

 図の中では上半分のスクリーンは自分で所有しているものであり、場所は屋内室内である。下半分のデジタルサイネージは自分以外の所有者によるスクリーンであり、家以外の場所に設置されているものだ。

 さらに、図には書かれていない新たなデジタル機器が今後も続々と出現し、時間をかけて淘汰され、住み分けがはっきりしてくるのだろう。当然その過程においては、さまざまなコンテンツやサービスが利用され、機器の開発や普及に車の両輪のごとく作用していく。こうしたマルチスクリーンに対してどういうマーケティングコミュニケーションやマーケティングに限らないコミュニケーションをセットしていくのか。この領域はもはやハードウエアやシステムの領域ではない。逆に言えば、デジタルサイネージシステムを単独で考えたり、デザインしたところでそのマーケットも寿命もあっという間に尽きてしまうのだ。

インターネット革命と言われるものが、いよいよ生活の中にこうして浸透をしていくのである。


デジタルメディアコンサルタント
江口 靖二

 

投稿者:江口at 09:00| 江口靖二の是々非々サイネージ