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2011年12月12日

もっとも新しいショッピングモール「テラスモール湘南」潜入記

今回は大型商業施設のデジタルサイネージをご紹介したい。JR東海道線の辻堂駅に直結した「テラスモール湘南」は11月にオープンしたばかりの大型ショッピングモールである。平坦な土地が少ない湘南エリアでは、こうした大規模なモールは希少な存在である。わたしは比較的近隣に居住しているのだが、大混雑の情報ばかり耳にしていたために恐れをなして、出かけるまでに1ヶ月も経過してしまった。

 

写真1212_2

 まずはこうした巨大モールでは必要不可欠な案内板。テラスモール湘南ではデジタルとアナログの両方がある。写真のように高さは低めで斜めに傾斜している。さらに設置場所によっては両面から操作することも可能。両面といっても片方はデジタルではない。
両面同時操作可能は前回紹介したロンドンの事例とほぼ同じ考え方。オープン時だからということもあるだろうが、こうしたタッチパネル式のデジタルサイネージでは現時点で日本で最も使いやすい事例だ。

 

 またよくこうしたケースでは、人の通行の妨げにならないようにとか、滞留させないようにというロケーションオーナーの声を聞くのだが、ここのように通路の交差点のど真ん中であるにもかかわらず決して妨げにはならず、むしろこの場所であるからこそ利用がされやすいということだという事例だ。

 

 写真1212_3

このあたりはロケーションごとに事情は異なるのだろうが、サイネージを置く以上は見てもらって使ってもらわなければ意味が無い。この場所での人の流れを関係者はよく観察されるといい。ただしよく観察していると、ほぼ全員が共通に操作に戸惑っている点がある。


写真1212_4 

 この写真はショップの一覧がサムネイルで表示されており、各サムネイルをタッチするとショップの詳細画面に遷移する。ここまではOK。問題はこのサムネイル画面は左右にまだ続くことはわかるのだが、どうやって左右に行くのが、画面を動かせるのかが全員一致で戸惑うのである。答えは各サムネイルを区切っているグリーンのほそーい線の部分をスワイプするのだが、私もこれに気が付くまでには相当時間がかかった。どうしてこのユーザーインターフェイスを採用したのかは全く理解できないが、これ以外の点では国内でナンバーワンであることは間違いない。

 

 他にも2割くらいのショップに何らかのディスプレイが導入されている感じである。
「がってん寿司」という回転寿司店ではオーダリング端末がiPad(iPad2ではない)。接続はWiFiで、電源供給は写真の通り常時ケーブルが接続。ホームボタンは操作できないようにアクリルパネルで覆われている。お店の方によると飲み物をこぼした例や盗難は今のところゼロ。ただしフリーズはよく起きるという。このあたりは汎用機の宿命なのだろうか。

 写真1212_5

 

 

 
「サミットストア」他店舗と同じようなバイヤーさんたちのお勧め映像が流れる。サミットストアさんはデジタルサイネージ業界的には老舗ユーザーさんといえるのだが、一貫してディスプレイをそのまま使うことを嫌い、こうしてデコレーションを常に施している。

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なんといっても圧巻は109シネマズだ。多分ペーパーレス、パネルレスですべてがディスプレイ。入り口上部には横20マートルはあるであろうLEDディスプレイがダイナミックに表示されている。


 ロビーホールもディスプレイだらけ。ドリンクなどの売店のメニューボードもすべてディスプレイだ。まるでラスベガスのデジタルサイネージエキスポの展示ブースのような光景である。おそらく現時点で投資コストを考えると導入にはそれなりに決断があったと思われるが、極めて近い将来にこれが当たり前になることは確かである。

写真1212_8


 また巨大な駐車場では入り口やアプローチ上で各フロアごとの空きスペース数を実数で表示する。これは駐車スペースの1つ1つにセンサーが付いており、空車スペースはグリーンの、車があるスペースにはレッドのLEDサインがつくので空きスペース選びに全く迷わない。事前精算機では3つある出口のリアルタイムの混雑度合いを教えてくれる。

 

 このようにテラスモール湘南は、デジタルサイネージがあらゆる場所で自然に、効果的に使われてる。これらは決して特殊なことをしているのではなく、紙やポスターで行われていたことがディスプレイ化することで、もっと便利になるとか、楽しくなるという点がきちんと具体化されている点に注目したい。
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つまりこれはハードウエア価格が低下したことによるものであり、この視点で見れば今後はほとんどの場所でこうした置き換えが進むのは間違いない。デジタルサイネージ関係者それぞれの立場から見ると、メーカーからすれば薄利多売型にますます加速することに直面するし、コンテンツやサービス提供者側から見れば、まだまだ新たな付加価値を提供できてはいないという現実も同時に見えているのである。

デジタルメディアコンサルタント
江口靖二

投稿者:江口at 11:13| 江口靖二の是々非々サイネージ